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第1回 赤い酒 3/3

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話しながら思い出したのだろう。ノゾミの目が大きく見開いて、そこからぼろぼろと涙が零れ落ちた。
「何て答えたの」
「嫌って」
「嫌って…?」
「だって、とっさに…」
そうか、と俺は呟いて酒を傾ける。
あんなにぞっこんだったのに、髪の毛一つで破局。
なんて悲劇だ。
まあ、髪の毛の問題じゃないのかもしれない。乙女心を砕く男として、ノゾミと合わなかったのだと言えなくもない。



「ごめん、遅くなって」
待ち合わせから一時間も遅れてようやくレイコが到着した。コートをバーテンダーに預けながら、泣いてるノゾミと俺をまじまじと見比べる。
まあ、座れ、と俺は言う。そしてバーテンダーにもう一つグラスをお願いする。

「ワインでいい?」

何も訊くなというメッセージをこめて、ゆっくりとレイコに尋ねる。レイコは、カウンターの椅子に座って、花柄のパッケージの煙草を取り出すと、一本くわえて火をつけた。それから、ノゾミをちらりと見て煙を吐き出すと、「いいけど」と、言った。

■□■

次回はこの物語から生まれた短歌を更新



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