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第11回 グラスの中 4/4

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「結構真面目だし、頭も回るし、見栄えもいいし、出世コースだし、適度に地味だし」
森川に言われるまでもなく、あたしの頭は忙しく働き始めていた。
子供は好きだと言っていた。
人付き合いが嫌いで会社が終わったらすぐ帰ると言ってたから、よいパパになるだろう。
問題はあのひねくれた性格が遺伝するかどうかだが、きっと家庭環境が悪かったのだろう。
素材はいいのだ、愛情持って育てれば、あんな人間にはならないはずだ。

「でも、ずっと友人だったのに、今更どうやって?」
返事がなかった。森川は既に寝息をたてていた。串で突っついても反応しない。一人盛り上がって恥ずかしいじゃないか。

セイジ、か。
あたしは、薄くてまずいチューハイのグラスを傾けて、中を覗きこむ。淡いピンク色の液体の中、泡がぱちぱちとはじけて、あたしの顔に飛んでくる。冷たくて、痛くて、べたべたするけれど、しばらくそのまま眺めていた。
顔を上げる。
携帯を取り出し、着信履歴の中からセイジの名を選んで発信ボタンを押した。

■□■
本性を映す泉を探すなら山奥でなくグラスの中に



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