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第13回 月とベーコン 4/4

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俺は黙る。泣かすつもりじゃなかったのに、
そうじゃなくて、俺はただ…。
そのとき、電話越しに、耳慣れた声がした。
「ノゾミさん、大丈夫っすか? 一体どうしたんですか」
その瞬間、俺の中で何かが切れた。
「森川、ちょっと電話出ろ」
「田中先輩じゃないですか。ノゾミさん、泣いてますよ。彼女、泣くようなタイプに見えないのに。一体何を言ったんですか」
「うるさい。今どこ?」
財布と携帯だけ持って家を出る。


俺は無性に腹が立っていた。確かにノゾミはどう見たって、人前で泣くようなキャラじゃない。
ノゾミが泣くのは俺の前だけなのに、なんで森川がそこにいるんだ。
タクシーに乗り込んで、不機嫌な声で行き先を告げる。タクシーが走り始め、長い車の列に滑り込んだとき、ふと、ベランダのベーコンを思い出した。今頃真っ黒になっているだろう。準備に三日三晩かかったのに。あー、俺今何やってるんだろう。

車窓から空を見上げると、まるまるとした月が微笑んでいた。


■□■
なきぼくろの似合わぬ女と称されるこんなにいつも泣いているのに



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